過去の上演作品[2001-2005]

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DA-RU-MA-SA-N-GA-KO-RO-N-DA[2005]

 

だるまさんがころんだ

作・演出坂手洋二


<東京>2005年8月14日(日)〜31日(水) 下北沢ザ・スズナリ

<神奈川>2005年9月14日(水) 神奈川県立青少年センター 

<沖縄>2005年9月6日(火)・7日(水) 沖縄・うるま市民芸術劇場 燈ホール

 

05/08/14

CAST>

中山マリ ………… 母 トッケイの女
川中健次郎 ……… 組長 村長 クリントン 役人
猪熊恒和 ………… ヒラオカ
大西孝洋 ………… タカ 浮浪者
下総源太朗 ……… 記者 アロハの男 警察官2 商人2 ディマイナー2
鴨川てんし ……… 父 男
佐古真弓 ………… 女
KONTA ……… ハセガワ
小林さやか ……… 子分 少年 子供 女役人
JOHN OGLEVEE … ボディーガード テレビ局員 ジョン 警察官1 商人1 ディマイナー1
江口敦子 ………… 妹 縄の女
樋尾麻衣子 ……… 姐さん 少女 タップダンサー
宇賀神範子 ……… 子分 女性記者 カップルの女 家族2
内海常葉 ………… 子分 会社の人 ローラーブレードの若者 家族1 犬
向井孝成 ………… 子分1 空港職員 弟 兵士
裴優宇 …………… 子分 兄 カップルの男
久保島隆 ………… 若頭 曹長 若者
杉山英之 ………… 子分3 空港職員 若者頭
小金井篤 ………… 子分2 兵士 キノシタ 見張り 影の若者
工藤清美 ………… 姉 家族3
塚田菜津子 ……… 幼女*
阿諏訪麻子 ……… 子分 幼女*
樋口美恵 ………… 子分 キックボクサー*
樋口史 …………… 子分*
安仁屋美峰 ……… 子分*
中川稔朗 ………… タップダンサー*

*印は出演しない日があります



STAFF>

照明=竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)

音響=島猛(ステージオフィス)

音響操作=鈴木三枝子(ステージオフィス)

舞台監督=森下紀彦 堀井俊和

美術=じょん万次郎

衣裳=大野典子

演出助手=吉田智久 清水弥生 福田望

文芸助手=久保志乃ぶ 圓岡めぐみ

翻訳(「セントラルパークの地雷」)=志磨真実

翻訳協力=JOHN OGLEVEE

宣伝意匠=高崎勝也

美術協力=加藤ちか

舞台写真=大原狩行

衣裳助手=桐畑理佳

制作=古元道広 近藤順子

制作助手=宮島千栄 藤木亜耶 小池陽子

梅ヶ丘work shop 2005=市川実令 尾形聡子 亀田ヨウコ 坂田恵 椙本貴子 

塚田弥与以 松山美雪 

協力=E-Pin企画 劇団青年座 文学座 高津映画装飾株式会社 C−COM 

すみだパークスタジオ 自転車キンクリーツカンパニー 高橋淳一

河本三咲 園田佳奈 高本愛子 田中星乃 増永紋美 宮島久美 召田実子 八代名菜子 




当日配布パンフレットより


『だるまさんがころんだ』ご挨拶にかえて


東京で三演目を迎える『だるまさんがころんだ』である。
多くの方のご支援によりまた上演できるのは、たいへんありがたいことである。この上演に当たって、周囲の勧めもあって、前回の「ご挨拶文」をリニューアル するよりも、今年一月、朝日舞台芸術賞をいただいたさい、授賞式で、不在の私に代わって中山マリに読み上げてもらったコメントを紹介することにしたい。 『だるまさんがころんだ』をはじめ、『私たちの戦争』『ときはなたれて』、昨年の燐光群で発表した新作の成果が、受賞対象となっている。

朝日舞台芸術賞受賞コメント

本日は燐光群『屋根裏』アメリカツアーのためスタッフとともにピッツバーグへ先乗りしており、この場 に馳せ参じることができないことをお詫びいたします
朝日舞台芸術賞をいただいたことは、私にとって大きな喜びでした
その理由は、私の劇団である燐光群で2004年に私が戯曲あるいは演出、美術を手がけた作品のすべてを受賞の対象としてくださったことです
燐光群は今年で創設23年目となります
もともと演劇というモノに対して斜に構えていた私にとって、演劇よりも先に劇団という存在があることが、つねに創作の原動力でした
気がつけば私たちの同時代の小劇団の多くは解散し、あるいは形態を変えてしまい、集団による想像力をたいせつに考える在野の小さな劇団はほとんど姿を消し てしまいました
私たちも、いつまでこのような形で活動を継続できるか知れません
しかしこうして仲間と共に2004年という時代を生きたことの全体性を評価していただいたことにより、時代遅れに見えるかもしれない、また、アマチュアと プロの境目も曖昧な、どろくさい劇団の作業を続けていく勇気とエネルギーが湧いてきます
私たちには演劇が必要です
演劇を使って感じ、考える習慣が、私たちに生きる糧を与えてくれています

『だるまさんがころんだ』は、私たちにとって、確実に、このような劇を上演するために私たちは演劇を 続けてきたのだという手応えを得られる作品でした。
私たちがこの劇を作りはじめたころ、アメリカの理不尽な「開戦」により、「第二の地雷」と呼ぶべきクラスターの不発弾が散らばるイラクへ、日本の自衛隊員 たちが「派遣」されたのです
私たちは、自分たちが生きている間には地球上に存在する対人・対戦車地雷を完全に撤去することは不可能であるという現実に対して、私たちが発狂せずにいる ためには、それが演劇であれ、別な手段であれ、人間と人間が信頼しあい、
お互いを大切にするという以外に方法がないことを痛感しました
斎藤憐さん、ジョン・ロメリルさん、そして今はなきクォ・パオクンさん、志摩真実さん、その他多くの「ランドマイン・プロジェクト」に携わってきた日本、 オーストラリア、アジアの仲間たちに、心から感謝いたします

『私たちの戦争』は、私が「米兵・自衛官反戦ホットライン」の一員として、イラクでの自衛隊の活動を 監視するために送り出した渡辺修孝が、ファルージャ付近で拘束されたことが誕生の背景となっています
渡辺氏の解放のため集会なども行ったりしましたが、やはり私たちは演劇によってこの現実と向き合うべきだと考え、生み出した作品です
創作の課程で、ほかにも多くの、戦時下ニッポンにおける、自由な表現への抑圧があることがわかりました
そしてニューヨークで、かつて反ナチのレジスタンスを戦った劇作家マリオ・フラッティさんと出会ったことにより、私たちはよりいっそう襟を正し、上演に対 するさまざまな妨害にめげず、演劇とそれを取り巻く現実に向き合うことになりました

そして、アメリカの死刑制度を鋭く批判する、ジェシカ・ブランク、エリック・ジェンセン両氏による戯 曲『ときはなたれて』は、私が『危険な話』『ブラインドタッチ』等を通じて見据えてきた司法制度の抑圧と矛盾に対して、同じようにアメリカの演劇人が向き 合ってきたことを知り、その日本版を上演することを決めた作品です
劇団員全員が揃う形ではなく、しかも狭いアトリエから発信した上演でしたが、私の想像を超えて劇団員自身が独自に、このテーマと向き合うために必要なこと が何であるかを見いだしていきました

私たちがこうした三本の作品を発表した後も世界の情勢は、臆面もなく、恥ずかしげもない退廃の一途を たどっています
イラクにはまだ自衛隊がいます
イラクで、パレスチナで、理不尽な虐殺が続いています
こうした現実に対し異議を唱える勇気を持てなければ、私たちは表現者たり得るでしょうか
たった一つのコトバ、わずかなまなざしの変化が相手に伝わると信じなければ、生きていくことができるでしょうか

皆様のご支援に、心から感謝します


坂手洋二




カモミール社「だるまさんがころんだ」












 

鶴屋南北戯曲賞 朝日舞台芸術賞 

読売演劇大賞<選考委員特別賞・優秀演出家賞> 

2004年「シアターアーツ」誌ベスト舞台・ベストアーティスト


圧倒的反響。
地雷と戦争をめぐる演劇の「現在」。


「社会性と娯楽性を両立させた快作」(祐成秀樹氏 読売新聞)
「アクチュアルなメッセージを、坂手は鋭い笑いとともに示す」(高橋豊氏 毎日新聞)
「坂手と燐光群の新しい収穫」 (扇田昭彦氏 朝日新聞)
「同時代の事件を芝居に取り込むのは『いま、ここ』を描く演劇の宿命」(河野孝氏 日本経済新聞)